カナダで観光学を学ぼうと思っている人のためのブログ

カナダの4年制大学(観光学部)を卒業しました。主に時事ネタを欧米視点の観光学の知識をベースにゆるーく語っていきます。

祖父の死から学んだ趣味とコミュニティの重要性

先日父方の祖父が他界しました。

 

祖父との思い出を思い返していたら色々気づきがあったので今回はそのことを書きます。

 

タイトルにあるように趣味とコミュニティの重要性についての記事なわけですが、観光学とどう関係するのか不思議に思う方もいることでしょう。僕が学んだ観光学は基本的にはマネジメントについてでしたが、それに関連してレクリエーションについても学びました。カナダで4年制の観光学部生は(各大学のカリキュラムによるとは思いますが)僕と同じようにレクリエーションについても学ぶと思います。そしてこのレクリエーションですが、なんと地域開発に大きな関わりがあるんです。

 

この記事を読んで観光学=旅行のみではないことと、趣味とコミュニティの重要性をふーんって感じてくれたらと思います。

 

*コミュニティ:コミュニティには地域コミュニティ(→自治体等)と社会的コミュニティ(→学校、会社、趣味など同じ属性を持つ人の集い)があります。

 

 

趣味の重要性

 

祖父との思い出でまず最初に思い浮かんだのは僕が小学生の時によく釣りに連れて行ってもらったことでした。祖父は遠洋漁業の漁師だったので船の操縦はもちろんのこと、(本業の漁法ではないですが)釣りの仕掛けの作り方も知っていたので夏休みにはよく釣りをしました。

 

いつも釣りをする桟橋には地元の人はもちろん、釣り好きの人が余所からやって来ることも珍しくはありませんでした。祖父は朝の散歩の帰りに釣り人達に今日はどう?何か釣れるかい?と話しかけ、情報収集をした後、釣れそうな魚にあった仕掛けを用意して釣りに連れて行ってくれました。

 

ここで今の自分の自由時間の使い方を考えるとほとんどがYoutubeやNetflixの視聴などの与えられたコンテンツを消費している(→受け身な自由時間の使い方をしている)ことを再確認しました。言い換えると、釣りを含む能動的な自由時間の使い方をしていないなーと思ったわけです。

 

もちろん動画を見ることが100%悪いとは言いません。ゆっくりする時間も必要です。能動的な趣味のなにがいいかと言うと、ノウハウを自分から発信しやすくなる(→好きなことを仕事にできる可能性UP)のと、趣味のコミュニティに所属する(→同じ趣味の仲間が増える)ことです。

 

コミュニティに所属するという点では受動的な趣味をしていても可能です(好きなYoutuberのファンコミュニティに所属する等)が、自分から発信するものがないのではないかと思います。

 

なぜここまで自分から何か発信することの重要性を繰り返しているかというと、(ホリエモンじゃないですが)今後は遊び(趣味)が仕事になりやすい時代がくると個人的に信じているからです。

 

AIがどうとかそういった話もありますが、個人的には消費者の嗜好が多様化している今、ニッチな需要に対応するにはそのカテゴリのオタクが作成した内容の濃いコンテンツが必要だと思っています。釣りを例にして考えると、釣り船の案内役をした時に船の操縦とマニュアルの案内ができる人よりはその2つはもちろんのこと、釣れる魚の種類や釣り具についての知識が豊富な方がお客さんとの会話も盛り上がりますし、満足度も高くなるわけです。

 

コミュニティの重要性

 

地域コミュニティでも社会的コミュニティでも何らかのコミュニティに属していて尚且つそのメンバーと良好な関係を築くことで得られる一番メリットは健康状態が維持しやすくなることです。人は他人とコミュニケーションを頻繁にとらないと心身共に不健康になっていくことが研究で明らかになっています。

 

www.dtod.ne.jp

 

老人の孤独死が~というニュースを目にしたことがあるかと思いますが、原因の一つはまさに同コミュニティのメンバーとのコミュニケーション不足でしょう。配偶者を亡くした+家族(子供)が実家ではない場所に住んでいる+とりあえずテレビをぼーっと眺めている高齢者の場合、コミュニティー内で充分なコミュニケーションがないと健康が損なわれるということです。

 

祖父との思い出で次に思い浮かんだのは僕がカナダから一時帰国した時に会った際には認知症になっていて誰だか忘れられていたことでした。すごい悲しかったです…。

 

僕の祖父の場合は祖母が先に無くなり、僕と弟は実家を離れ、僕の両親も仕事であまり家にいない、という状態が何年か続きました。また祖父もあまり人となれ合うのが得意な気質ではなかったようで、老人センター的なところには行きたがらなかったようです。その結果、認知症を患いその後別の病気で他界しました。まさに大学で習ったセオリー通りでハッとしました。朝の散歩ついでの地域の人に挨拶して回っていた祖父でさえいつのまにかその習慣がなくなり負のスパイラルに陥ってしまったわけです…

 

自分の居場所を見つける→Third Place

 

社会学用語でThird Placeというのがあります。First Place (家)とSecond Place (学校や会社)の他に自分が心地よいと思える場所をThird Placeと言います。例えばカフェや公園などが該当します。

 

Third Placeの特徴としては、そこに行くとリラックスできることと同じ場所が好きな他の人との交流があることです。

 

よくカフェやファミレスでお茶とケーキ1つで何時間もおしゃべりしている高齢者グループを見かけませんか?彼らがどういう関係かはグループ毎に異なるので一括りにはできませんが彼らは特に意識せずに楽しい(→それが生きがいとなっている)から集まっていると思います。お店の人や他の客の目にどう映っているかはわかりませんが、社会学の観点からすると彼らの行動は素晴らしいわけです。(そう考えるとスナック通いのおっさん達も社会学的には模範生ってことか…)

 

路上で井戸端会議をしているおばちゃま達がパワフルなのはそういったことも要因かと思います。

 

この流れで気づいたでしょうか…公園でゲートボールをしている高齢者グループはThird Placeで地域・社会的コミュニティメンバーと交流しているということです…。これこそレクリエーション(例:ゲートボール)が地域開発に関係してくる事例です。自治体はこのような社交活動が可能な公共の場の整備をする必要があるのですが、その際には地域住民が利用しやすいデザインを考えなければいけません。確かに高齢者がゲートボールをするのは良いことと書きましたが、それは彼らの都合だけを考えた際に言えることで、他の公園の利用者、例えば子供たち、のことを考えると頻繁にゲートボール大会を開催されては思う存分走り回ることもままならないわけです。本物かネタ画像か知らないですが、禁止事項ばかり書いてある公園の画像をネットで見たことがあります。それを見た時にはその公園って存在価値あるの?って思いました。

 

地域開発についてはまた別の記事で書こうと思います。長くなるので笑

 

趣味、コミュニティ、Third Placeと語ってきましたがどれも現代社会人が知っておくべき概念だと思います。これを機にもう少し外出する努力します…。