カナダで観光学を学ぼうと思っている人のためのブログ

カナダの4年制大学(観光学部)を卒業しました。主に時事ネタを欧米視点の観光学の知識をベースにゆるーく語っていきます。

日本でeスポーツが流行らないワケ

最近日本でも耳にする機会が多くなってきたワード、「eスポーツ」。

 

ネットニュースをよく読む人は2020年のアジア競技大会の正式競技としてeスポーツが選ばれた、なんて記事を読んだことがあるのでは???

 

www.gamespark.jp

 

この記事ではそもそもeスポーツとは何か、何でこんなに世界的に盛り上がってきているのか、でもなんで日本では流行らないのか、eスポーツは観光学科で学べるってことを紹介します。

 

 

そもそもeスポーツって何?

eスポーツはビデオゲーム/PCゲームを競技として捉えたときの名称。スポーツ(Sports)は英語で競技という意味でスポーツの目的はCompetitive SportsとRecreational Sportsの2種類に分けられる。前者は勝つことを目的としたもの、後者は楽しむことを目的としたもの。つまり、今までのゲームの目的は楽しむことがメインだったしそれが世間一般のゲームの認識だったけど、別にゲームだってガチで勝つことを目的としてやってもよくね?っていうのがeスポーツ。

 

上記の分類の他に体を使うスポーツ、Physical (Traditional) Sports(例、バスケ、野球、水泳等)と頭脳戦のMental Sports(例、チェス、囲碁、将棋等)の2つの違う競うフィールドで分けられることもある。この分け方だとeスポーツがどっちに属するか断言するのは難しい…と、言うのもコマンド入力速度の速さで競うことを考えると前者に属する気もするし、デジタルカードゲームだと頭脳戦だし…みたいな。

 

ちなみにeスポーツっていうのは大きな枠組みの名称であって種目の名称じゃない。eスポーツという大きな枠組みのなかに競技性のあるゲームタイトル(LOL、オーバーウォッチ、スタークラフト等)が属する。

 

f:id:bananasunscreen:20180707143143p:plain

何で今世界的に盛り上がっているの?

おそらく1番の理由はeスポーツを娯楽として楽しめる人が多いから、だと思う。

 

このeスポーツを楽しむってのは自分がゲームをプレーするだけじゃなくて観戦するのも含まれる。一般的な日本人の感覚に当てはめると野球とかサッカーを自分がプレーする楽しみ方とテレビとか現地で観戦する楽しみ方があるよね?それと一緒だよって説明がわかりやすいでしょうか。

 

人気タイトルのプロゲーマーの試合なんかはスタジアムが観客でうめつくされることも珍しくない。NBA会場として有名なStaple センターもLOLの試合で一杯になったことだってある。

www.pasadenastarnews.com

 

eスポーツ観戦への敷居の低さもeスポーツの人気をけん引する理由の1つだと思う。

Twitch等eスポーツにはさまざまなオンラインライブストリーミングサイトがあって基本無料で観戦できる。さらにアプリ版もあるからスマホ等携帯端末で気軽に見れるのもデカい。ローカルでの試合だけでじゃなくて世界各地で開催されている試合を大会の規模に関わらず見れるってのも重大なポイント。

 

ここまでの流れでなんとなくeスポーツがいわゆる普通のスポーツと大差ないってことは理解してくれたと思うのですがどうでしょう…笑

 

で、普通のスポーツと変わりがないのならばやっぱりプロゲーマーになりたいって人は多かれ少なかれ出てくるわけ。普通のスポーツのプロアスリートになりたい!って言ってもお前じゃ無理、とか言われるのにお遊びのイメージが強いプロゲーマーは尚更だよ笑

 

プロへの憧れに関連して、プロが使用している/プロデュースしたスポーツグッズって人気出るじゃないですか。〇〇選手が使ってるラケット!とか△△選手がプロデュースしたシューズ!みたいな。実はこれがeスポーツの世界でもありまして…例えばゲーム用のPCとかマウスとか椅子とか、メーカーがプロに使わせて宣伝するわけです。家電量販店によってはそういうゲームガチ勢用のグッズコーナーが設けられているとこもある。少なくともカナダのはそう笑

 

でさ、冒頭の話に戻るけど、なんでアジア競技大会の競技にしちゃったり、なんでオリンピックに取り入れようとしてるの?って思う人多いと思うんだよね。

 

理由は色々あるでしょう。今勢いに乗ってる分野だから、とか人気があるから、とか。ここで一度2018年冬季オリンピックのスポンサーを思い出してほしい。Intel入ってるよね。実はIntel主催のゲームの大会が冬季オリンピックのクロスプロモーションとしてオリンピック開催日の少し前に開催されていたんです。(な、なんだってー!)

www.olympic.org

 

まあ、要するに金ですよ。金。(あくまで僕の偏見だけど)人気に便乗してみんな金儲けしたいんですよ。金儲けしたかったらプロモーションかけますよね…そういうことです。

 

なんで日本で流行らないの?

これは大きく2つ理由があると思います。

1つ目は法律の問題。2つ目はスポーツとゲームに対する考え方の問題。

 

まず1つ目。大まかに言うと日本では海外みたいに高額の賞金を出せるゲームの大会が法律のせいで開きにくいという現状があります。このことは結構ググればすぐに出てくるので詳細が気になる方はどうぞ。

 

2つ目。日本のスポーツとゲームに対する考え方は観光学の視点からするととても偏っています。

 

まずなにより日本だとスポーツ=運動のみですよね。これが違う笑 少なくとも北米ではダーツとかビリヤードもスポーツに入ります。日本では…どうでしょうね…そういう認識のある方は少ないのではないでしょうか。

 

このことを理解するにはまず観光学の基礎中の基礎、レジャーとは何かを理解する必要があります。小難しい説明はググればたくさん出てきますので、僕はサックリと説明します笑

 

レジャーとは、仕事や社会的な拘束から解き放たれた時にできる息抜きのことです。例えば旅行だったり、趣味だったり、スポーツだったり。要するに息抜きの為に好きなことをやる時間ってことです。スポーツ然り、何事もそうですが世の中には1つのことを純粋に楽しみたい人とガチりたい人がいます。レジャーをガチでやることをSerious Leisureっていいます。つまりプロのスポーツ選手ってレジャーガチ勢なんですよ。ゲームもレジャーの1つ、ガチればプロゲーマーになる。これが観光学視点でのeスポーツ∊スポーツの考え方です。

 

まぁ、とは言ったもののやっぱり海外にもスポーツ=運動のみって思ってる人は老若男女問わず少なくないです。ゲームだってオタクのイメージあったりしますし。じゃあ日本と海外は何が違うのか。多分だけど1番の理由はeスポーツをエンターテイメントの1つとして捉えてる人の多さだったり、新しいことを受け入れようとする姿勢の人の多さだと個人的に思う。これは今までの価値観にそぐわないからダメ!っていう日本人多い気がしません?

 

これから日本でeスポーツを流行らすためにはどうしたらいいのか。

今思いつくのは2つ。

 

1つ目は国内大会をたくさん開催してゲームの大会に参加できる機会を増やす。一定数のプレイヤーがいなかったらその市場は育ちませんからね。大事なことだと思います。

 

2つ目は国際的なイベント(主にオリンピック)でeスポーツが採用されること。日本は国際的な圧力に弱いですからね笑 それに日本はゲーム市場においてはアメリカと1位2位を争っている(ちなみにカナダは3位)わけですからオリンピックでeスポーツが採用されたら日本のゲーム会社も黙ってないと思いますよ。

 

eスポーツは観光学科で学べる

eスポーツは新しい分野なのでまだ学術的論文があんまりありません(2018年7月現在)。なので自分たちで実際にアンケートとったり実験する以外には経済誌とかそういったところから数字をもってくることが今のところ多いんです。NEWZOOっていうサイトがeスポーツ界隈の研究ではよく使われたりします。僕も卒論書くのにお世話になりました笑 あとはスポーツ界隈のことはたっっっくさん学術的論文が出ているのでeスポーツとスポーツの性質が似ているということを前提にeスポーツにもスポーツ界隈のこの理論が通用するんじゃないか、とかそういったことをやって大学の課題クリアしてました。eスポーツのことだって観光学科で学べるんですよ!!! この記事で観光学の意外な側面を紹介できていたら幸いです。